ようやく「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」下巻を読み終わった。
リアルな描写で、プロレス・ファンとしては、力道山戦以降が、特に面白かったのだが、
最後に出てくる石井慧と地下格闘技の話、
前者、石井慧の現在の総合での惨敗の現状と、
漫画のような地下格闘技伝説で、
梶原一騎的リアル・ファンタジーの世界となっていたのはビックリ。
また、ジャイアント馬場にリアル・ファイトで挑もうとするのも「グラップラー刃牙」のよう。
(ちなみに文庫本のあとがきは刃牙の作者の板垣恵介)。
さらにアントン・ヘーシンクやダグ・ロジャースの
大きな外国人の圧倒的な強さも際立って描かれている。
石井も柔道では金メダル取っても総合では外国人にはかなわないし。
このように下巻では大きな外国人や力道山の強さが強調されており、
敵役として登場するジャイアント馬場の趣向
「レスラーは大きく、怪物的でなければ」が逆説的に描かれているかのようだ。
貴重な上巻の戦前・戦後の柔道と柔術の記述から、
下巻では近代化、国際化が進み(オリンピックやプロレス)、
ショー・ビジネスの世の中や、開かれた世界の現実で、
現役を退き、力道山に敗れた、木村政彦の苦悩を、
弟子たちと共に練習にあけくれ、業を極め、託すことで、
自分に納得させようとしているように思える。
人生において、他人を蹴落としでもトップになって、早死にした力道山。
「強さ」を極めたが、忘れさられていき、
それでも、長生きし、家族や弟子を愛した木村。
どちらの人生が良いのかは永遠の人間のテーマかもしれない。
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